■人に任せる難しさ

今月の6日(月)に,私が登録研修指導員という役目を頂戴しお手伝いをさせ
ていただている「中小企業大学校 東京校」の後継者養成コースの開講式があ
った。
記念講演として,愛知県新城市の本多プラスという会社の本多社長がお話をさ
れた。

65歳の二代目社長だ。僕の母と同じ年齢だが,とてもお元気で溌剌とした印
象だった。
現役の社長さんだから,事例は豊富であるしお話も多種多様な切り口でとても
楽しい講演だった。

その中でも特に印象的であったのは,「人に任せる」という難しさと勇気を説
かれているところだった。
今は,ご子息に経営を大幅に任されているが,任せる勇気が必要だとおっしゃ
っていた。
本多社長は,任せる勇気をお持ちで非常にうまくご子息に事業継承をされてい
る。
しかし,このようなケースはまれであると思う。
が,まれということは,この「任せる」ということが,どれだけ経営者にとっ
て重要なことかを証明しているようにも思う。

僕は,人に任せきれずに失敗した。
社員を信用できず,「おれがやったほうができる」「そんなことは俺がずっと
前から考えていたことだ」といつも思い,「やってみろと言ったが,やっぱり
だめじゃん」と言って結局は自分でなんでもやってしまっていた。
任せた人間が失敗しても,その責任を負えない社長だった。

どうしてそうなったのか,自分の経営者時代を振り返ると,あることに思い当
たる。
「多少の間違いはいいじゃないか」と思えないことだ。
「すべて完璧にできなければいけない」
そう,僕は完璧主義者だった(と過去形にしたい)。

本多社長はこうおっしゃっていた。
「任せても,失敗することもある。うまくいかないこともある。それを我慢す
るんだ。そうでないと任せることなどできない」

う〜ん,僕はこんなに度量のある社長だったか???
いやいや,小さなミスも逃さない,神経質な社長であったと思う。

人に任せるということは,単に社員を信用しているしていないという次元の話
でもないように思う。
もっと根源的な,自分との闘いのように思える。   
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