■なぜならば・・・

●先日尊敬するある方から,このような話を聞いた。

●社員を研修に行かせた社長に「この間の研修は,いかがでしたか?」と聞い
てみると答えは2つに分かれる。
ひとつは「とても効果があったよ。研修のあと社員もがんばっているよ」とい
う社長。
もうひとつは「まったくだめだね。研修なんてそんなもんだよ。行かせるだけ
無駄だね」という社長。

●このそれぞれの社長には大きな違いがある。
それは研修に行かせる前の行動だ。
「本当に効果があった」という社長は,社員を研修に行かせる前に必ず呼んで
ブリーフィングをしている。
「君には,この研修に行ってもらいたい。なぜならば今度新規事業の立ち上げ
をしてほしいと思っている。そのためにまずはこの研修に行って,いろいろ勉
強してきてほしい」
または,「君にはこの研修に行って来てもらいたい。なぜならば,この研修で
勉強してきたことを今度は君が社内講師として社内で研修をしてほしいのだ。
しっかり学んで皆にそれを広めてほしい」
お分かりのように,研修に行かせる前に,「なぜならば・・・」とその理由を
伝えているのだ。

●「研修なんてだめだよ」という社長は,社員を行かせる前に「この研修に行
ってきて」とパンフレットを渡しておしまい,の社長だ。
「なぜならば・・・」という理由をまったく伝えてない社長は,研修を効果的
に活用する術を知らないようだ。

●この話を聞いて,プロ野球日本ハムの監督になったヒルマンについて,小笠
原選手と岩村選手がテレビで言っていた言葉を思い出した。
レポーター「大リーグの監督であるヒルマン監督が来て,何か変わったことは
ありますか?」
小笠原「特に変わったということはありませんね。とくかく基本の徹底。これ
だけです」
岩村「そうですね〜。強いて言えば,何かしろと言った後に必ず「なぜならば
・・・」ということを必ず言いますね。だから,なぜこの動きをしなければい
けないかの理由がわかって,納得して野球をすることができますね」

●社長にとって,「これをしろ」ということは日常していることだ。
しかし,「なぜならば・・・」という理由を懇切丁寧に説明をしているかどう
か。
指示を出すには,そこに必ず理由があるはずだ。それを時間がないということ
で,省いていないだろうか。
このたった一つのセンテンスを付け加えるか加えないか,の違いで,大きな効
果の差が出てしまうのである。

社員を研修に行かせるとき,皆さんはどうしているだろうか。
研修に効果があるか,ないか,は,研修自体に問題があるのではなく,経営者
のコミュニケーションの仕方にどうも原因があるように思える。

「そんなことはない。だめな研修は世の中たくさんあるじゃないか」と思うか
,「なるほど,そういうこともあるのか。今度気をつけよう」と思うか。
そこにも,社長としての謙虚さと共感性の違いを感じる。
あなたが投資家ならば,どちらの社長に投資したいと思うだろうか。私は,「
なるほど,そういうこともあるのか。今度気をつけよう」と思う社長に投資を
したい。
自分が他人からどう見られているか,という視点も忘れず,「なぜならば・・
・」を実践してほしいと思う。

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