失敗の理由その2
Γ無理な出店を重ねて失敗しました」

(創刊号・3.20号・3.23号・3.30号・4.06号・4.13号号をまだ読んで
いない方は創刊号から是非ご覧くださいhttp://www.alfalfa-c.com/bn.htm)

■新しい事業を始めたり、事業拡大する場合、その事業でどれだけ
売上が上がるのか、利益はどれくらい稼げるのか、その見通しを立て
なければいけない。なぜなら、資金がいつどれくらい必要なのかとい
う資金繰りを立てなければいけないからだ。資金繰りがなければ、い
つの間にか会社は倒産してしまう。

■では、どうやって売上や利益の見通しを立てるのか?市場調査をして
潜在需要を計り計画していく方法などいろいろな方法方法がある。しか
し、ここでは「誰にも聞けない」を標榜しているので、誰にでも聞ける
そのような方法を述べても意味がない。

売上や利益の見通しはどうやって立てるのか?

それは、最後は経営者であるあなたの勘・センスで判断するしかないの
である。どんな緻密な調査をして綿密な計画を立てても最後は経営者の
判断である。ここでビジネスのセンスがあるか、ないかが問われる。完
璧な計画を立てれば、だれが判断してもうまくいくのか?ということで
ある。そんなことはない。どんなに完璧な計画でもそれを判断する経営
者によってその結果は大きく違ってくる。では、何故経営者によって結
果が違ってくるのか?それはその経営者の勘・センスが違うからである。
こんなことを言うと、精神論的だとかあやふやで論拠がない、と思われ
る方が多いと思う。しかし、最後は経営者の勘・センスで決まる。最近
の風潮として、なんでも計数化して具体化してそれが経営であるという
傾向が強い。それ自体間違いではない。計数化ができていなければ、投
資家や金融機関を説得できないし、それよりなにより資金繰りが組めな
い。しかし、計数化し具体化し体系化することがすべてでなない。それ
を知らずにただ事業計画を作っている経営者・起業家が多い。その計画
を実行するのは人間だ。そしてその人間は他人には推し量ることができ
ない「意思」を持っている。ということは、人間がやる以上、そこには
個々人の意思が入り込む不確定要素があるということである。
この事業計画を狂わせる不確定要素はなんなのか?さらにはそれを克服
して事業を成功させることが可能なのか?という判断は経営者の皮膚感
覚、第六感、いわゆるセンスで判断するしか無いのである。経営者の資
質によると言っても良い。
だから成功する経営者と失敗する経営者がいるのである。

■仮にあなたが、自分で納得できる事業計画を立てて、神経を研ぎ澄ま
して判断し、それでも失敗した経験があるとしたら・・・
あなたは、経営者として新規事業に参戦するセンスがないかもしれない。
とても酷な言い方かもしれないが、大きなやけどを負う前にあなたは判
断することから離れたほうがいい。もし、部下になんか変なことを時々
言うけど新しいことを結構成功させるんだよな〜みたいな人間がいたら
その部下に新規事業を展開するかの判断を任せてあなたは口を出さない
ようにするのも手だ。経営者といえども得手不得手はある。別に自信を
なくすこともない。大切なのは、そこでセンスある人間にあなたが任せ
られるか、である。これがなかなかできない。だから失敗する経営者が
多いのである。

■先の話に戻るが、どんな立派な事業計画も実行するのは生身の人間だ。
机上の予想どおりにはいかない。最近、コンサルタントが自分で立てた
計画を実行しようと経営者になり、結構失敗している。その失敗の理由
はいろいろあるだろうが、経営には資質・センスが必要なのだ。それが
ないとどんなに計画を作るのがうまくても経営者にはなれない。事業計
画を作り上げる能力と経営の能力は違うのだ。特にベンチャーを目指し
て資金調達のために事業計画を練りこんでいるみなさんに気づいて欲し
い。その練りこんだ計画を実行するセンスが自分にあるかどうか・・・
実は成功するためのキーはそこにあるのだ。逆を言えばセンスさえあれ
ば多少計画が大雑把でも現場対応力でなんとか事業を成功させてしまう
のだ。

■では、自分が経営者としてのセンスがあるかどうかどうやって見極め
るか?それは実は実際やってみるしかない。これでは鶏と卵の話になっ
てしまうが、やってみてセンスがあるかないか判断するしかない。だか
ら、できれば社内ベンチャー制度などを利用するとか、それが無理な方
は小さい事業からはじめてみて、少ないリスクでとりあえずやってみる
ことが良い。自分自身を常に見つめている心構えがあればセンスがある
かどうかはすぐ自分でわかるはずだ。あれば、もう少し大きなことにチ
ャレンジし、なければ経営者になることをあきらめる。現に経営者の方
は新規事業の判断業務を自分でしない、そんな決断が必要だ。

■売上や利益の見通しは経営者の勘・センスで決まる!なんてコンサル
タントが言ったら、コンサルティングの商売にならない。だから誰も言
わない。いろいろな算出の数式やアメリカから輸入した理論を述べなけ
れば商売にならない。しかし、事の本質は、経営者がこれはいける!と
か、ここの場所は儲かる!という勘に最後は頼らざるを得ないのである。
それを繰り返していくと経営者の判断基準が標準化され社内の新規開発
部とかの社員でも判断がつくようになるのである。だから最初は経営者
の勘・センスだ。資質だ。いくら努力して身につけてもセンスがある人
間にはかなわない。自分は事業拡大のセンスがあるのか?これを機会に
ちょっとつらいだろうが、自分を見つめてみることをお勧めする。

■先のコンサルタントから経営者となり失敗しまたコンサルタントに
戻っている方々の名誉のために書いておく。そのような方々はお金に代
えられない貴重な経験をした。それは短い期間でも経営者となったとい
うことである。経営者を経験した彼らは出戻っても前のコンサルタント
仲間とは比べ物にならないくらい優れた提案やアドバイスができると
思う。要するに彼らは野球をしたことがない野球のコーチでありながら、
いきなり本番の試合に出場し、その真剣勝負のすさまじさを体験したの
である。
野球を知らない人に野球のコーチができなように、経営を知らない人に
経営アドバイスはできないというのが私の持論だ。異論反論あろうかと
思うが経営者の方々にはこの感覚はわかると思う。
コンサルタントとして戻った彼らは、とてつもなく優秀なコンサルタン
トになっているのである。ものすごく高いコンサルタント料だと思うが
お金に糸目をつけずにコンサルティングを受けたい方は彼らに依頼する
ことをお勧めする。

■なぜ私が無理な出店をして失敗してしまったのかという反省から、
どうすれば事業拡大や新規事業がうまくいくかということの本質を述べ
てきた。次号からは、資金や金融機関、リースなどお金にまつわる話
をいよいよはじめていきたいと思っている。
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