失敗の理由その1
「ほんとうは違うことをしたかったと思っていたので失敗しまし
た」その5
3.30号からの続き
(創刊号・3.20号・3.23号・3.30号をまだ読んでいない方は創刊号
から是非ご覧くださいhttp://www.alfalfa-c.com/bn.htm)
■前号では、「自己一致」していることがどれだけ経営者にとって大
切かを述べた。この「自己一致」については、何度も言うように経営
者の本質論であるので、また機会があったら触れたいと思う。
今号は「創業と守成」というテーマの一つの区切りとし、二代目経営
者として「自分のタイプを知る」ことの重要性について述べてみたい。
■二代目として事業を引き継いだ時、はたして創業者の事業をこのま
ま継続していけばいいのか、新しい時代の波に乗って事業を転換した
ほうがいいのか大いに悩むところだ。。個々の企業においては、その
企業の外部的な要因と内部的な要因が複雑に絡んでいてどちらがいい
のか、結論的なことは一言では言えない。しかし二代目が自分は経営
者としてどういうタイプなのかを知ることによりどちらの方向で成功
するかがわかる。
■二代目が、自分は創業者と性格も似ていて新しい何かにいつも挑戦
していないと気がすまない、という性格ならば、思い切って事業転換
をすることをお勧めする。そういう二代目では、創業者の作った道に
沿って地道に歩いていく事業継続は性格的に向いていなく失敗する可
能性が大きい。事業転換にはいろいろな方法があるが、基本的には現
経営資源を活用した方向がいいのはいうまでもない。あまり突飛な方
向はいけない。しかし、せっかくリスクを取って事業転換するのであ
るからやりたくないことをやってはいけない。ニ代目のあなたがやり
たいことをやるようにしたい。また周りの人が勧めるからとか、うま
い儲け話などにのって間違った方向に行っては絶対にいけない。この
ような誘惑が二代目にはとても多いので心して気をつけなければいけ
ない。今の経営資源を活かしつつ自分のやりたい方向でかつ突飛でな
いことにしたい。そんなことあるのか??ではまだ知恵の絞り方が足
りない。答えは必ず見つかるはずだ。
■また事業転換は資金や人材のことなど多くの重要な経営判断を必要
とするので慎重に判断しなければいけない。さらに創業者が健在の場
合はその説得もしなければいけない。その場合、ただ感情的に話をす
るのではなくどうして自分がこの方向に進みたいのか、また資金計画
など総合的な事業計画を持って、計数的に説明し納得してもらう必要
がある。ちょうど投資家に説明するがごとく理路整然と説明しなけれ
ばいけない。それが、創業者に対する最低限のエチケットである。ま
た、この場合、直接2人で話し合うと喧嘩をしてしまう心配があった
り、うまく話し合いがいかないようであれば、コンサルタントなどあ
なたのブレーンである外部の人達の力を借りると良い。しかし外部の
人にそそのかされてはいけない。またそういう印象を創業者にもたれ
てもいけない。二代目が自分で決めたことを外部からも支援してもら
うというスタンスが重要だ。二代目自身がこうしたいんだ、という理
念を示してそれを応援するという関係だ。ニ代目の理念や情熱に共感
してくれている外部ブレーンは、これから起こる二代目のいろいろな
危機的な場面で必ず大活躍してくれるはずだ。
■このように創業者に近いタイプの二代目は思い切って事業転換をし
たほうが成功する。我慢して先代の事業を継続しているといつか爆発
して取り返しのつかないことになったり、変な横道に逸れて結果とし
て経営に大きなダメージを与えることになる。
では、創業者タイプではなく実務家タイプの二代目はどうしたらいい
であろうか。このタイプはいわゆる二代目経営に向いているタイプで
ある。このタイプのニ代目は新しいことにチャレンジするよりは創
業者からの事業を地道に継承して事業を継続するほうが良いであろう。
この場合もバランス感覚が重要である。あまりにも守りに入っては会
社が時代に取り残されてしまう。だから自分はこのタイプだと思った
場合は番頭に外交的で時代のセンスを取り入れるのがうまい人物を据
えると良い。そしてその番頭と相談しながら新しいことにチャレンジ
していくようにするのだ。周りに取り残されるとあせり、自分で勝手
に新しいことをしては絶対にいけない。このタイプの二代目には新し
い事業を起こすセンスがない場合が多いので、自分勝手にすすめるこ
とはとても危険である。そんなことはない、自分は守りも攻めもでき
る、と思いがちであるが自分のタイプをはっきり知ることが大切であ
る。そしてそれがとりもなおさず会社の繁栄につながるのである。
■私自身どうであったのか?間違いなく地道な実務家夕イプのニ代目で
はなかった。かと言って自分で新事業を起こして亊業転換する程のセン
スもなかった。もう少し謙虚にまわりの方々のご意見を聞き入れていれ
ば失敗もしなかったと思う。ニ代目にとってそして経営者にとって自分
の夕イプを知ることは大切だ。そして、それは自分だけではなかなか把
握しにくい。自分に対するまわりの人の評価に謙虚に耳を傾け自分の夕
イプをしっかりと見定めてほしいと願う。
創刊号から今号まで「本当はしたくないことをして失敗しました」とい
うテーマのもと広がるままに話を述べてきた。次号からは新しいテーマ
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