■売上回復の特効薬

●最近,小売業の方々とお会いしてお話する機会が増えている。
私自身,小売業であったので,話をしていても感覚的にすごく良く
わかるし,困っていること悩んでいることも,皮膚感覚でわかる。

●私は2年前に事業を辞めてしまったが,小売店主が悩んでいるこ
とは,その頃と何も変わらない。いや,ずっと昔,父が商売してい
た頃とも変わらないかもしれない。いやいや,もっと昔私の先祖が
油を売っていた頃と変わらない,江戸時代そのもっと昔から,小売
店主の悩みはずっと変わっていないのかもしれない。

●悩みは簡単だ。売上減少,客数減少,そして品揃えだ。
商いが生まれた時から,この問題も一緒に生まれたのであろう。
商売をする限り,ついて回る悩みだ。

●売上減少に歯止めをかけるにはどうしたらいいか?
客数減少に歯止めをかけるにはどうしたらいいか?
学者,評論家,コンサルタントなど今までいろいろなことを言って
きた。
Aといえば,カウンターのBという説が出てくる。Bが出てくればそれ
を否定するCという理屈が生まれる。
そして,そのたびに小売店主は振り回される。
とかく,日本人はカウンターが好きだから,短期間に両極端の理屈
に触れて,頭がこんがらがることもしばしばだ。

●諸説ごもっともで,いろいろあるだろうが,小規模小売店の売上
回復の特効薬は,「オンリーワン」しかない。


●なんだ,そんなことか。言い古された言葉だな。何を今更当たり前
のことを言っているのだ。云々・・・
しかし,皆さん,この当たり前と思われることを,あなたは実現して
いるだろうか?
言い古されたことではあるが,小売店の究極の姿が「オンリーワン」
なのであり,それを達成することは大変困難なことでもあるのだ。

●「オンリーワン」は別の言い方をすれば,「差別化戦略」だ。
これまた,古くさい言葉に感じるだろう。
コンサルタントが,こんな陳腐化したことを言っていてはおしまい
だと思われるかもしれない。
しかし,だ。現実の小売店を見てみれば,「差別化」された店を作
っているところはほとんどない。自分達は違うと思っていても,お
客様から見れば,隣の店となにも変わっていないのである。

●例えば,私があなたの店の隣に,あなたと同じ業種の店を開店す
るとしよう。あなたが惣菜屋さんなら,私も同じ惣菜屋を隣に開店
するということだ。
あなたは困るか?競合が隣に出店してきたら,たまったもんじ
ゃないと思うか?

●冗談じゃない,大変だからやめてくれ,というのなら,あなたの
店は早晩なくなってしまうだろう。
私が出店しても大丈夫というのなら,あなたの店の売上は上がるで
あろう。

●「オンリーワン」とはそういうことだ。「差別化」ということは
そういうことだ。何故「差別化戦略」が良いかというと,消費者に
とってわかりやすいためだ。消費者にとって分かり易いということ
は,コミュニケーションが取りやすいということで,効率的にPRが
可能であるということだ。
消費者にとってわかりやすこと。
小売業が一番大切にしなくてはいけない顧客満足を達成するには,
まずは,自分の店が分かり易いということが重要だ。
何を置いているのかわからない,あっちの商店街にある店とどこが
違うのかわからない,スーパーとどう違うのかわからない・・・
そんな状態が,売上減少を生むのだ。

●売上回復の特効薬は,ある。そんなものない,ではない。
特効薬は,あなたの店しかない「もの」をお客様に提供することだ。

それはできないって?

それは無理だって言うあなた。
商売を勘違いしていないか。
商売とは,他人が調達できないものを苦労して捜して手に入れて,
軒先に並べることなのだ。
それが,商売の原点だ。
それができない,と言っているあなたは,怠惰な商売,楽な仕入に
浸りすぎてしまった商人もどきに過ぎないのだ。




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