■ビジネスプランの功罪

●起業をしようと思っている人,事業を興そうと思っている人は
必ずビジネスプランを作れ,と言われる。

●僕は,このビジネスプランを作れ,という画一的な指導にとても
反対だ。
何故なら,経営を何も経験していない人がビジネスプランを作ると
そのプランに逆に縛られて,経営で最も重要なファクターである
「修正」をしないで進んでしまうからである。

●事業を興す場合,事前に立てたプラン通りに進むわけがない。
予期しないことの連続だ。それをどう修正し進んでいくか,その能力
こそ,経営者は問われまた実行しなければいけないのだ。
起業家にとって必要なことは,「正しい道の進み方」ではなく,
「正しい修正の仕方」なのだ。

●プランを作ると,それが「命」とばかり硬直的な考えになって方向
転換または撤退という柔軟な発想が失われてしまう。
1つのプランしか実行していなく,それが成功する確率は極めて少な
い。アメリカのあるビジネススクールの研究では,打率3割だ。
10のプランを実行して,うまくいくのは,せいぜい3つ程度という
ことだ。
いかに1つのプランで猛進することが,危険なことか・・・

●最初に立てたプランは,一応の道しるべであり,道が違ったり方向
が違えば,最初からプランを立て直す覚悟を「最初から」持つべきだ。
きっちりしたプランを作ると,どうしてもそのプランに愛着が出てきて
捨てたくなくなる。なんとかできないか,と執着してしまう。
だから,きちんと作らないことが肝要だ。

●ビジネスプランを作ることが仕事だと勘違いしている人がとても多い。
きちんとしたプランを作れば,事業は成功する。そんなふうに思って
いる人もたくさんいる。
事業を成功させるコツは,きっちりしたプランではない。状況に応じた
仮説の修正能力であり,変化対応力である。プランは,体の向きを変え
る時の,軸足でしかないのである。

●だからと言って,何も考えずに走れば失敗する。
私は,以下のことを考えてみることを勧めている。

・あなたは何を売るのか?
・それはあなたしかできないことなのか?
・なぜ,あなたから買わなければいけないのか?
・どうやってあなたがいると知ってもらうのか?
・ライバルは?
・いくら儲けるのか?
・儲けたらどうするのか?

この7つの質問にきちんと答えられれば,あなたのプランは実行する
価値がある。
答えられなければ,答えられるような事業を他に考えるか,事業を
興すことを考え直したほうが良い。
この7つをきちんと答えられなければ,成功しないからだ。

●誰でも,すぐに社長にはなれる。
でも,資金が潤沢になって,事業を運営できるようになるには,いろ
いろなことが必要なのだ。
そして,それがわかるようになるためには,あれこれ,机上でプラン
をこねくりまわしていないで,まず事業を始めてみることだ。
なんだかんだと言っても,経験から学ぶことは大きい。
何故なら,自分に対して言い訳ができないから・・・・

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