■節税病を斬る!
●今日から,日経新聞一面で「税をただす」の第三部が始まった。 第一部,第二部をもうすでにご覧の方々は,ご存知とは思うが,核心に迫った好企画であると 思う。 意識の高い社長と雑談をすると,この企画記事の話は,必ずと言ってよいほど,出る。 ●経営者にとって,税金に無関心の人はいないだろう。 税金の知識なくして,経営をすることは,船の操縦方法を知らないで船を出航させることに等し い。 ちなみに,試算表が読めない社長は,羅針盤の読めない船長と同じだと,いろいろなところで 私はお話をしたりする。 ●多くの経営者の税金知識は,ちょっと偏っていて,首を傾げる事が多い。 いかに,税金を少なく払うかということに,注意が行き過ぎていて事業の目的を忘れているので ある。 ●新しいこういう事業を始めようと思うのだけれど,こうやると税金が多くかかるので,こんな変 形した形でやろうと思っているという話。 もっとひどいのは,税金が多くとられるから,新しいことをやめようと思っているなどという話。 いづれの社長の頭の中は,「節税」で一杯だ。 ●「節税」をいつも考えている社長の会社は,絶対に大きくなっていない。私の経験則だけでな く,多くの優秀な経営コンサルタントが,指摘している。 「節税」を考えて,再投資できないのだ。リスクテイクができないのだ。もっといえば,会社や社 長自身の使命を忘れ,会社ごっこをしているに過ぎないのだ。 ●税金は立派なコストだ。だから,合法的に最も少なく払う方法を選択することは決して間違っ ていない。 しかし,税金というコストカットを意思決定の判断基準の第一位にもってきてはいけない。 コストカットの行き着く先が縮小均衡であるのと同じだ。 ●特に,若い経営者やちょっと儲かってきた経験の浅い社長は気をつけて欲しい。 一生懸命働いてきて,儲かって,半分以上税金を払うのはもったいないなぁ,そんな気持ちで, 税金の勉強に勤しむようになると,ある日ある時気付いたら,「節税社長」になってしまってい た,そんな危険があるのだ。 ●「節税」を意思決定の基準にもってきてはいけない。もっと優先すべき経営判断があるはず なのだ。こじんまりとまとまった,「小社長」にならないためにも,「節税」のための税務知識では なく,「成長」のための税務知識を是非身につけて欲しい。
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