■あなたは学ぶ姿勢を持っているか?

●拙著「社長の勘違い25の落し穴」の最後にも書きましたが,社長が学ぶ姿勢を無くすると,
会社の業績はドンドン落ちていきます。
経験を積むと,やはりどうしても謙虚に学ぶ姿勢というものは失われていくものです。

●15年以上社長をしている方々の口癖はこんなものです。
「いや〜二条先生,それはわかっているんだけど,難しいんだよねぇ。ほんと,難しいんだよ」
15年も社長をしていると,いろいろなことを経験しそしていろいろなことを学習していきます。
経営のだいたいのことはわかってしまうのです。
ですから,私のような外部の者が客観的な視点で,改革点を指摘しても,「やってもたいだいの
結果はわかる」と勝手に判断して,意見を聞こうとしません。

●「難しいんだよねぇ」
この一言で,済ませてしまう。

これは,今までの自らの経験を美化し,また変化しなけれないけないとわかってはいても,無
意識にその変化を望まない,傲慢で独り善がりで柔軟性の欠如した経営者の姿であります。

●常に変化していこうというポジティブな気持ちを持っている社長は「難しいんだよねぇ」とは決
して言いません。
「もっと詳しく聞かせて」そう言って身を乗り出してきます。
「なるほど,そういう考え方もあるよねぇ」と,メモを始めます。

●どちらの経営者がこれから業績を伸ばしていくか,明白です。
「難しいんだよねぇ」社長に明日はありません。
それじゃいけないですよ,と言ってもわからない社長とは,私はお付き合いしません。
「内省」できない社長は,何をやってもうまくいかないのです。

●ところで,最近では経営者の方々でも,大学院に通われるケースが増えています。
とても良いことだと思います。
私自身,経営者時代には,「学者が商売できるか!」とか「MBAで商売できりゃ世話ないわ!」
など生意気を言っていましたが,中小企業診断士等の勉強をした際には,この考えがおおい
に間違っていたことに気付きました。

●もっといろいろな知識があれば,あの時あの判断をして失敗はしなかったのではないか,と
思うことがとても多かったのです。
学問では,商売はできません。学問通りできれば,こんなに楽なことはありません。

では,何を学ぶのでしょうか?
学問は,学者が「こんなもんかな」というように思いつきで学説を述べているわけではありませ
ん。
たくさんの企業を調査し分析するなど実証しながら,その共通項を概念化したものです。です
から,自らの経営にも共通することも多く,また経営上の問題を解決するたくさんのヒントを与
えてくれます。(決して解決策は与えてくれません。あくまで示唆です)
ですから,経営の学問を学ぶことは,経営実務的な解決に直結はしませんが,必ず経営者の
意思決定に役に立つのです。

●そのようなことに気付いているのかどうか,それはわかりませんが経営者,特に30代の若
い経営者が大学院に行って経営学を学ぶことはとても良いことだと思っています。
もちろん我々コンサルタントもそれを上回る勉強をしなければいけないことは言うまでもありま
せん。
貪欲に学ぶ姿勢を持つ現代の若い経営者が,あと10年たったらどうなっているか。
日本もまだまだ捨てたものではない,と確信しています。

●ベテランの経営者のみなさん,あなたは,勉強していますか?
都合の良いことだけ勉強していませんか?
あなたは,まだ学ぶ姿勢を持っていますか?

これは,かつての私に,今の私が問い掛けていることでもあるのです。



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